ぺぷしのーげん

アプリケーションエンジニアによる雑記ブログ

全文読め!蓮舫議員の二位じゃだめなんでしょうか?は正しい指摘だった件について

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民主党の福島伸享議員の「同人誌は価値がない」発言や、自民党の丸山和也議員の「オバマ大統領は黒人奴隷の子孫」発言で炎上しました。しかし、全文を読めば全く意味が異なる発言だと後でわかりました。今年はこういった切り貼りで失言を作ることがメディアで流行っているようですが、2009年の民主党の蓮舫議員の有名なあのフレーズも実は同じだったのです。

 

2009年の民主党による事業仕分け

政権を取った民主党は早速歳出削減に向けて事業仕分けを開始しました。国家財政は大赤字で大胆な歳出カットをしなければ歳入黒字になることは不可能です。2009年11月は449もの事業が仕分けの対象となりました。担当役所の官僚や、専門家、民主党を中心とした国会議員で事業を継続するか、廃止するか、縮小するかなどを決めます。

 

次世代スーパーコンピューティング技術の推進事業

蓮舫議員の有名な「二位じゃだめなんですか?」の発言が飛び出した事業仕分けは、「次世代スーパーコンピューティング技術の推進」事業です。当時の状況は下記のとおり。

  • この事業の総工費は1200億円ほど
  • 当時は設計段階で既に540億円を使用していた
  • 開発は富士通と日立、NECに委託していた
  • ここにきて日立とNECが開発撤退を表明していた
  • 日立とNECの撤退で大規模な設計変更を行う予定

冒頭から事業継続が怪しくみえてきますね。

 

今回の論点

今回の事業仕分けは大きく2つの論点があったように見えます。

  • 本当に開発を継続できるのか?
  • なぜ世界一のスパコンが必要なのか?

この質問に答えるのは文科省の役人と、理化学研究所の研究者の方です。それぞれの回答や質問については以下のとおりです。

 

本当に開発を継続できるのか?

2009年はリーマンショックが発生した2008年の翌年です。日立は数千億円の赤字を計上していましたし、とても開発を続けられる状況ではなかったとのこと。国の予算で総額1200億円を見積もっていますが、開発3社の自己負担も結構な額に及んでいたようです。

  • では富士通が撤退したらどうなるの?
    → 富士通が撤退することは想定していません。様々な要因からそのようなことはないと思います。

  • 経営状況は表向きで、将来性で2社が撤退した可能性は?
    → そのようなことはないと思います。

  • 大幅な設計変更で富士通だけで開発できるの?
    → 慎重に検討した結果、要求性能が満たせると判断しました。このような国家の巨大プロジェクトは方針転換がなかなかできないケースが多いですが、私たちはむしろ臨機応変に対応できて決断できたと考えております。

うーん。なんか無難な回答で、問題の核心には答えてないですね。これ今後700億円を要求していく事業ですからね。

 

なぜ世界一のスパコンが必要なのか?

これは実際の議事録から幾つか持ってきてみましょう。

  • 例えば費用対効果の話が出ておりますけれども、サイエンスには費用対効 果に馴染まないものもございます。勿論、経済効果とかそういうことも必要でございます けれども、そういう部分がございます。

  • こうした国民に夢を与える、あるいは世界一を取るこ とによって夢を与えることが、実は非常に大きなこのプロジェクトの1つの目的でもあります。

  • 現在の科学技術では、スパコンなしでは最先端の科学 技術の発展というのは、不可能に近いところがございます。そして世界一の研究というの は、世界一の装置。

ここら辺の回答がマズイですね。なんのために作るのか?→世界一になるため!しか言えていません。研究者だから説明は苦手なんだろうって言う人もいますが、一流の研究者は機関や行政から多額の研究費を投資してもらえる研究者です。プレゼンや説明が下手な研究者は二流と言われています。さすがにこの説明に蓮舫議員もイラっとしたのでしょう。

  • 世界一になる理由は何があるんでしょうか。2位じゃだめなんでしょうか。 あるいはアメリカがつくった後に、そこになってある意味ソフトあるいはどこかで共同開発、つまり日本とアメリカが一緒にできるような、何かそういう夢の共有というのは、できないんでしょうか。なぜ1位なんでしょうか。

なぜ一位であるべきなのか質問しました。ごく当たり前な質問です。しかし、この太字の部分だけをメディアは報道しました。本文のPDFは23ページもあるんですけど?これに対する回答、

  • 現在の科学技術では、スパコンなしでは最先端の科学 技術の発展というのは、不可能に近いところがございます。そして世界一の研究というの は、世界一の装置。

あちゃー。さっきのやつです。ここら辺から文科省と理化学研究所サイドは劣勢になります。

 

蓮舫議員以外もかなり否定的な意見

  • アメリカが 24 年までに同じ 10 ペタのものをつくろうとされているというふうに伺っている中で、日本としてのトップワンでいられる期間は、どれくらいだと考えておられるのか。恐らくアメリカが本気で挑戦をすれば、すぐまた順位が入れ替わるということが想定されるのではないかという中で、果たして一時的にでもトップを取るということの意味が 、本当にどれくらいあるのか。
    → こうした国民に夢を与える、あるいは世界一を取ることによって夢を与えることが、実は非常に大きなこのプロジェクトの1つの目的でもあります。

  • 100 億円を超える予算超過をして、今後 700 億円を投じて国民に夢を与えたい。それは本当にこの額が必要なのかどうかというところを、もうちょっと教えていただきたい。
    → 世界一の研究というのは、世界一の装置。

とにかく世界一を取ることが目的化していて、何のために世界一の性能を目指すのか説明がなされない。それで二位じゃダメな理由を言えば、その説明になりますよ?と蓮舫議員は助け舟を出したわけです。でもそれが叩かれた。

  • アメリカが先にこのスパコンを開発したらどうなるんですか。
    → その場合は、例えば今、競争関係にございます様々な企業のシミュレーションの計算において、非常に不利な立場になると理解しております。

  • そうすると、絶対に勝たないといけないんですね。仮に負けた場合のリスクは、どうやってヘッジするんでしょうか。
    → 非常に厳しい御質問でございますけれども、我々としては全力を挙げて獲得したいと思っています。

つまりリスクが高いけど、対策もない。この事業って博打なの?って総突っ込みを受け始めます。

  • 今1位を取るとおっしゃいましたけれど、どんなにはかない瞬間の1位でも、それに大きな価値があるとおっしゃっているんですか。
    → 先ほど申しましたように、様々な競争分野において、日本が不利な立場になると理解しております。

  • これまでの競争に投資した人的、財的投資は全部ゼロになるというこ とですか。
    → 私が申し上げたのは、スパコンというシミュレーションの世界においての問題でございます。その点で不利な状況になるということでございます。

事業を継続しても非常に厳しい競争な上に、大幅な設計変更を迫られています。が、辞めたら日本が窮地に立たされるという一点張り。すると質問側はこう言いますよね。

  • 世界一を取らないといけないと言うけれど、日米の競争だというと、ではドイツとかフランスとかその他のヨーロッパ諸国はどうなんだろうかというと、そこの企業が全部つぶ れちゃうのかというと、そんなのはないだろう。ということは、日本のすべての企業が大ダメージを受けるということでもなさそうだ。

読んでいると蓮舫議員より他の議員や専門家のほうが発言してるし、厳しい意見を述べられてる。文科省と理化学研究所サイドはどんどん追い込まれます。

 

結果発表

  • 次世代スーパーコンピューターの結論、廃止が1名、来年度の予算計上見送りが6名、予算要求の縮減が5名でございます。その中身も半額以上の縮減ということでございますので、結論的には、限りなく見送りに近い縮減というふうに申し上げたいと思います。

結果は失格でした。

事業仕分けは負け戦だとか、反論の余地も許されないとか批判的な意見も多々出ましたが、事前にある程度の質問内容を把握していたにも関わらず、あまりにも質問に答えられてないですよね?というのが正直なところ。

 

以上、蓮舫議員のスパコンの事業仕分けをまとめてみました。結局僕のまとめも一部誤解を生じやすい表現や抜粋があるかもしれませんので、是非とも全文読んでみてください。長いとはいえ30分くらいで読めますよ。

 

参考:第3会場評価結果・議事概要

http://warp.da.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/9283589/www.cao.go.jp/sasshin/oshirase/h-kekka/pdf/nov13gijigaiyo/3-17.pdf

 

おしまい。