ぺぷしのーげん

アプリケーションエンジニアによる雑記ブログ

カジノ法案と呼ばれている統合型リゾート(IR)推進法案の全文を読んだので解説してみるよ

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こんにちはKeitaです。安倍政権の目玉政策でもあったカジノ解禁。しかし、ズルズルと他法案やイザコザでいつの間にか下火に。。そして遂に3年もの月日が経過したのですが、ここにきて急展開、先日衆議院を通過しました。自民党は一気に成立を目指すようです。背景にはトランプ大統領就任前に米国から大型投資を確定させたいなどあるそうです。しかし、このカジノ法案についてはギャンブル依存症や治安の悪化懸念ばかりフォーカスされており、肝心の中身が国民に知れ渡っていません。ということで、今回はこのカジノ法案の中身を読んでみました。(ちなみに写真は2012年にマカオの統合型リゾート、ベネチアンマカオで撮影したもの)

 

特定複合観光施設区域の整備の推進に関する法律案

衆議院のホームページで「特定複合観光施設区域の整備の推進に関する法律案」という名前で内容が公開されています。書き方こそクセがありますが、そんなに長文でもないので興味ある方は読んでみるのも良いかも。まあ、特許とかより格段に読みやすいですよ笑。

●特定複合観光施設区域の整備の推進に関する法律案

 

なぜカジノを解禁するのか?

上から読み進めていきましょう。まず冒頭に、なぜ今カジノを解禁するのか?という問いに対して明確に答えが書かれています。

第一条 この法律は、特定複合観光施設区域の整備の推進が、観光及び地域経済の振興に寄与するとともに、財政の改善に資するものであることに鑑み、特定複合観光施設区域の整備の推進に関する基本理念及び基本方針その他の基本となる事項を定めるとともに、特定複合観光施設区域整備推進本部を設置することにより、これを総合的かつ集中的に行うことを目的とする。

 地域経済の振興と財政の改善です。少子高齢化と過疎化による地域経済の衰退と、改善の兆しすら見えない財政悪化に対する処方箋としてカジノを利用しようというものです。

カジノを解禁する理由

  • 衰退する地域経済を活性化するため
  • 悪化する財政のために、新たな財源を確保するため

 

カジノはどこに作るのか

ハウステンボスや大阪、横浜や沖縄など誘致を検討したり公表している施設や地域は既に複数存在します。では実際に作る場所はどうやって決めるのでしょうか。

第二条 この法律において「特定複合観光施設」とは、カジノ施設(別に法律で定めるところにより第十一条のカジノ管理委員会の許可を受けた民間事業者により特定複合観光施設区域において設置され、及び運営されるものに限る。以下同じ。)及び会議場施設、レクリエーション施設、展示施設、宿泊施設その他の観光の振興に寄与すると認められる施設が一体となっている施設であって、民間事業者が設置及び運営をするものをいう。
2 この法律において「特定複合観光施設区域」とは、特定複合観光施設を設置することができる区域として、別に法律で定めるところにより地方公共団体の申請に基づき国の認定を受けた区域をいう。

地方公共団体が申請して国が認めればカジノが作れるようです。つまり、誘致を表明している中から選ばれるわけではありません。国が認めるなら、現在誘致を希望している場所すべてにカジノが作られる可能性もあります。また、地方公共団体というのは県や市町村、特別区も含まれているので、極端な話、人口が数百人の村でも村長が誘致するぞと決めれば申請はできるのかもしれません。

また、カジノを作るのに税金を使うのか?と思う方もいるかもしれません。しかし法案の赤字の部分で書かれているように、カジノは民間事業者が設置して運営します。つまり、そこに直接的に税金は使われないわけです。あくまで国と地方公共団体が「カジノを作っていいですよ」という許可を与えるだけなんですね。日本は経済大国で、訪日観光客も右肩上がりで伸びています。カジノ建設の許可を出すだけで巨額の投資を引き付ける魅力が日本にはまだあるわけです(米国の企業が1兆円以上の投資を検討しているなんて話もググると出てきます)。時期を逃すと許可を出しても投資してくれる企業がいなくて実現できなかったりします。今ならまだ間に合います。

カジノが作られる場所

  • 県や市町村、特別区など「作りたい!」と言って国からOKをもらった場所
  • OKをもらった県や市町村、特別区がカジノ建設許可区域を指定する
  • 指定されたカジノ建設許可区域に民間事業者がカジノを建設する
  • カジノの運営も民間事業者が行う
  • 国や県、市町村、特別区はカジノの建設や運営に直接税金を投入しない

 

どんなカジノを作るのか

カジノとはいえ、どんなカジノを作るつもりなのでしょうか?なんとなく思惑が法案から見えてきます。

第三条 特定複合観光施設区域の整備の推進は、地域の創意工夫及び民間の活力を生かした国際競争力の高い魅力ある滞在型観光を実現し、地域経済の振興に寄与するとともに、適切な国の監視及び管理の下で運営される健全なカジノ施設の収益が社会に還元されることを基本として行われるものとする。
 (国際競争力の高い魅力ある観光地の形成等)
第六条 政府は、特定複合観光施設区域が地域の特性を生かしつつ真に国際競争力の高い魅力ある観光地の形成の中核としての機能を備えたものとなるよう、必要な措置を講ずるものとする。
 (観光産業等の国際競争力の強化及び地域経済の振興)
第七条 政府は、特定複合観光施設区域の整備により我が国の観光産業等の国際競争力の強化及び就業機会の増大その他の地域における経済の活性化が図られるよう、民間の資金、経営能力及び技術的能力の活用その他の必要な措置を講ずるものとする。
 (地方公共団体の構想の尊重)
第八条 政府は、地方公共団体による特定複合観光施設区域の整備(特定複合観光施設の設置及び運営をする事業者の選定を含む。)に係る構想のうち優れたものを、特定複合観光施設区域の整備の推進に反映するため必要な措置を講ずるものとする。

 建設する地域の特色に合わせたカジノにするようです。「日本らしさ」ではなく、その地域に合わせたカジノを作るわけです。例えば、ハウステンボスはオランダの風景を再現したテーマパークですから、日本にいながら欧州にいるかのようなカジノを作って良いということになります。日本だからといって、ハウステンボスに「日本らしさ」を演出する必要はないわけです。沖縄でも日本とはいえ着物や木造建築にこだわる必要は全くなく、琉球文化を前面に押し出したカジノでもOKなわけです。バブル期に日本中で似たようなテーマパークが作られましたが、カジノはそのようなことにはならなさそうです。

どんなカジノができるのか?

  • その地域の風土や文化を反映したカジノ
  • 必ずしも日本らしさをウリにしたものとは限らない
  • どこのカジノに行っても似たようなもので同じ、とはならないようにする

 

 パチンコ業界に与える影響は?

カジノ解禁はパチンコ業界にネガティブな影響を与えると言われています。

  • パチンコも合法的な賭博と認められて課税されるようになる
  • パチンコも合法的な賭博と認められて出店場所に制限がかかる
  • カジノに客足を奪われる
  • カジノの機械について法的な制限が定義され、パチンコにも適用される

などが懸念されている内容です。現在のカジノ法案にも上記の一部が懸念される部分があります。

 (カジノ施設関係者に対する規制)
第九条 カジノ施設の設置及び運営をしようとする者(当該カジノ施設の設置及び運営に係る事業に従事しようとする者を含む。)、カジノ関連機器の製造、輸入又は販売をしようとする者並びにカジノ施設において入場者に対する役務の提供を行おうとする者(以下「カジノ施設関係者」という。)は、別に法律で定めるところにより、第十一条のカジノ管理委員会の行う規制に従わなければならない。

 カジノ関連機器の製造はカジノ管理委員会の行う規制に従わなければならないそうです。これによりパチンコの機械にも厳格な制限が適用され、収益が減少するという事態に直面する可能性があります。現在もパチンコの機械は風営法で規定されており、公安委員会の遊技機規則を守る必要がありましたが、厳格に運用されてきませんでした(つまり黙認されていた)。しかし、この規則も2015年から警察がパチンコ店を指導するようになってきており、もしかすると国のカジノ解禁の流れを反映しているのかもしれません。

パチンコ店への悪影響

  • 公営賭博としてカジノ関連法案が厳格に規定、運用されることで、パチンコ業界へも法律が厳格に運用されるようになるかも

 

どうやって国や地方公共団体は財源を得るのか

カジノの建設や運営は民間事業者が行います。民間事業者がカジノを運営するだけでは国や地方自治体には大きな税収は期待できません。なぜなら企業を誘致するのと同じだからです。企業は税金を節約するため、経費で利益を実態より少なくしてしまうからです。しかし、実はカジノは特別な税金が課税されるので、それがありません。

 (納付金)
第十二条 国及び地方公共団体は、別に法律で定めるところにより、カジノ施設の設置及び運営をする者から納付金を徴収することができるものとする。
 (入場料)
第十三条 国及び地方公共団体は、別に法律で定めるところにより、カジノ施設の入場者から入場料を徴収することができるものとする。

 納付金を徴収ってヤ〇ザみたいですね。。。

とにかくカジノからは通常の法人税などとは違うお金を国や地方自治体は徴収することができます。本案ではなく別の法律で定めるので具体的な内容は分かりませんが、シンガポールやマカオでは「ゲーミング税」と呼んでいるようです。例えばマカオでは、カジノの利益ではなく、単純にカジノの売り上げから支払った賞金を引いた額に課税されます。法人税のように経費を引いた額に課税されるわけではないのです。さらに法人税とは違う税率設定となるので、設定によっては大きな財源になるでしょう。

さらにお客さんである入場者からも入場料を徴収することができます。似たような税金に温泉の入湯税とかありますね。ハウステンボスだったら、ハウステンボスの入場料に上乗せなんてこともあるんですかね(実際にはハウステンボス内のカジノに入場するときなんでしょうけど)。

国や地方公共団体が財源を得る方法

  • 運営の利益ではなく、カジノ売り上げから支払い賞金を差し引いた額に課税
  • カジノ事業者に課するゲーミング税の税率次第では大きな財源になる
  • カジノへ入場する人から入場料を徴収する

 

 カジノ法案は税金を使わず巨大プロジェクトを誘致でき、大きな雇用と観光客を呼び込み税収も増えるという良いことばかりです。もちろん以前から言われているギャンブル依存症や治安に対する対策も大事ですが、この先行き不透明な日本経済や財政にとっては数少ない救世主となってくれそうですねー。