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ふるさと納税の都道府県別収支をまとめました|どの自治体が黒字でどの自治体が赤字なのか

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こんにちはKeitaです。皆さんはふるさと納税はやっているでしょうか。僕は最近ふるさと納税でダイソンのホットアンドクールが手に入るという話を聞いて調べはじめたのですが、節税効果が非常に高く、今まで利用していなかったことを後悔しました。今年度はもう遅くなってしまったので、来年度はちゃんと利用しようと思っています。そんなふるさと納税ですが、過剰なお礼の品が問題となったり、一部の税収減となった自治体から批判の声が上がったりしています。というわけで、今回はふるさと納税について調べてみました。

 

 

1.ふるさと納税とは

背景

通常、僕たちの給与から住民票を置いている都道府県と市町村に住民税が支払われています。しかし、下記のような問題や批判の声から「ふるさと納税」という方法で住民票を置いていない地域に納税することができるようになりました。

  • 就職を期に地元を離れて働いているが、同じ金額の税金を支払うのであれば地元に支払いたいという要望
  • 大人になるまで税金で育てたのに、税金は就職先の豊かな都会の都道府県に納税されるという地方の不満
  • 税収の一極集中という問題の緩和

 

ふるさと納税をするメリット

ふるさと納税は、つまりは住民票を置いている地方自治体に支払う税金を別の地方自治体に支払うというものです(制度的には寄付制度ではあるものの、実態はそうなってるはずです)。しかし、ふるさと納税に力を入れている地方自治体は納税者にお礼の品を渡しています。つまり、税金の支払先を変えただけなのにお礼の品を貰えるわけです。トータルの納税金額はそのままでお礼の品だけをゲットできる。つまりは、タダでお礼の品をもらえるようなものというわけですね。

※実際には所得に応じた控除額の上限や、自己負担分の2000円などがありますが、細かい控除金額や仕組みについては別のサイトやまとめ記事をご参照ください。

 

2.ふるさと納税の統計データ

どこの都道府県からのふるさと納税が多いのか

まず、どの都道府県からふるさと納税されているかを調べてみました。全都道府県別となっているので非常に縦長となっていますが、あしからず。

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当たり前なのですが、人口が多いほどふるさと納税をする人が増えるので、実質的に人口が多い順になっています。しかし、それでも東京都民からのふるさと納税金額は群を抜いています。東京都の人口は1360万人で、神奈川県の人口は907万人です。東京都は神奈川県の1.66倍の人口規模ですが、ふるさと納税金額は2.5倍もあります。それだけ東京都民のふるさと納税の利用者が多い、または所得が高い人が多いということを示しています。高所得者ほどふるさと納税の恩恵を受けますので、富裕層が集まる東京都が群を抜いているということは、富裕層の節税として使われているという批判は一定の理にかなった指摘であると言えそうです。

 

どこの都道府県がふるさと納税で控除が発生しているのか

ふるさと納税が行われると居住地の自治体は住民に住民税を還付しなければなりません。つまりはふるさと納税の控除額です。この控除額を降順に都道府県別に並べてみると下図のようになります。

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当然東京が1番となります。しかし、よく見るとふるさと納税額と順位が変わります。上位ではふるさと納税額が3位の名古屋と4位の大阪が逆転します。しかもその差は4億円と大きく開いています。このことは、

  • 愛知県民は節税よりもお礼の品を重視している
  • 大阪府民はお礼の品よりも節税を重視している

ことが推測できます。大阪府民はふるさと納税でも還元率重視なのかもしれませんね笑。さすが商売の街です。

 

どこの都道府県がふるさと納税を受けているのか

さて、次は都道府県別のふるさと納税額を並べます。つまりは、どこの都道府県がもっとも多くのふるさと納税を集めているのか?というわけですね。

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1位は北海道でした。北海道の幸を求めてふるさと納税する人が多いのでしょうか。2位以降は続いて山形、宮崎など全国的に有名な名産品を持つ都道府県が名を連ねています。しかし、税収の一極集中の緩和というコンセプトから都道府県の人口の昇順になると予想していたのですが、そうはなっていません。東京や大阪、神奈川は上位にいますすし、最下位は福井、その次も香川、徳島、富山と人口規模の小さい都道府県が続きます。地元に納税したいという人が多ければ、人口規模の大きい都道府県にふるさと納税が集まるので、東京や大阪、神奈川の金額が大きくなっているのかもしれません。お礼の品目的ばかり焦点が当てられますが、どうもそうでもなさそうというのをこのグラフから感じますね。客観的、定量的に証明はできませんが。

 

3.ふるさと納税の現状の分析

ここまでの統計データから、各都道府県のふるさと納税の受け入れ金額から、他の都道府県に流れたふるさと納税の控除金額を差し引いたグラフを作成しました。つまりは、

  • 受け入れ金額: ふるさと納税による収入
  • 控除金額:   本来納税されるはずだった税金が他の都道府県に流出した金額

ですね。実際には控除上限を超えるふるさと納税を行っている人も多数いますし、収入からお礼の品の代金を賄うので全部が収入とはなりませんが、1つの指標にはなると思います。いわゆるふるさと納税の収支ですね。

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多くの都道府県で流出した税収よりふるさと納税で税収が増えているようです。赤字となっている都道府県のすべてが人口規模の大きな都道府県となっており、税収の再分配という目的は正しく機能していることが分かります。2017年になって東京都町田市や23区でふるさと納税にたいする歪みの批判の声が上がりましたが、このグラフをみればその理由も分かります。が、そもそもふるさと納税は東京の税収を地方に再分配するのも目的なので、そこを批判しても国はそれだけでは動かないでしょう。ふるさと納税の受け入れ金額が最下位である福井県、次点の香川県、徳島県ですら黒字なわけですから、東京都の流出がいかに巨大なものであるかが分かりますね。

 

というわけで以上ふるさと納税の現状でした。お祝いの品には否定的な声も多いですが、結局地元の産業や雇用に寄与して再び税金として一部戻るので、本当にそこまで問題なのかという声もあります。一方で、ふるさと納税の仲介業者やポータルサイトがテレビCMしているのは違和感があります。なかなか難しい問題ですが、税収の再分配という目的であれば抜本的な税制改革でもっとやり方はあるだろうなと個人的には思いますねー。

 

参考

総務省|ふるさと納税ポータルサイト|ふるさと納税のしくみ|税金の控除について

総務省|ふるさと納税ポータルサイト|関連資料