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同一労働同一賃金は正社員を追い込む|終身雇用と年功序列の終わり

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非正規雇用の待遇改善のために同一労働同一賃金が議題に上がっています。しかし、これは非正規労働者よりも正規労働者のほうが影響がはるかに大きいと言われています。なぜでしょうか。

 

同一労働同一賃金とは

すごく簡単です。同じ仕事をしているのであれば、誰であろうと同じ賃金にするというものです。バイトはその典型例です。バイトが男性であろうが、女性であろうが、中卒だろうが、大学院卒であろうが、20代であろうが、50代であろうが時給は同じです(高校生だけ若干安い場合あるけどね)。これは同じ仕事をするので、同じ賃金なわけですね。もし特別な仕事を割り当てられる場合はバイトリーダー給とかもらえますよね(お店や会社によるが)。これも同一労働同一賃金だからです。他のバイトと違う業務も追加されるので特別給がもらえるわけです。

 

なぜこれが非正規の待遇改善になるのか

景気が回復して人手不足になったとき、企業は非正規雇用を増やします。これは景気の回復が一時的なものと企業は認識しているからです。景気が後退したら非正規雇用をクビにします。このように雇用調整を行うことで、企業は景気の動向に対して耐性をつけてます。

しかし、一時的な雇用とはいえ、人手不足で雇用しているので基本的に仕事内容は正規社員と同じです。しかし、非正規という理由で賞与がもらえなかったり、そもそもの基本給が低い企業が多いのが現状だそうです(個人的には非正規は雇用調整のリスク分単価が高く設定されてると思っていたのですが)。これが同一労働同一賃金に反していると言われている部分です。これを改善するために同一労働同一賃金を徹底しようという話が持ち上がっています。非正規労働者にとっては良い話かもしれません。

 

非正規の待遇改善より大きな変化がある

しかし、非正規の待遇改善ばかりが報道されていて、本質が全く議論されていません。というのも、同一労働同一賃金とは現行の終身雇用や年功序列システムを破壊しなければならないのです。つまり、正社員の間でも同一労働同一賃金を徹底しないといけないことがポイントなのです。

たとえば大企業になると、40代や50代の平社員はたくさんいます。しかし、彼らは年功序列で20代の2倍もしくはそれ以上の賃金をもらっています。平社員だから20代と同じ仕事をしているにも関わらず。これは同一労働同一賃金に反します。「終身雇用で会社があなたの人生を守ってあげるから、若いうちは会社のために安月給で働いてね!歳を取ったら楽をさせてあげるからね!」というシステムは同一労働同一賃金とは相いれないわけですな。

www.newsweekjapan.jp

 

雇用の流動性が大事

雇用の流動性を高めるという議論をすると、解雇規制の緩和の話が必ずでてきます。そりゃ企業が解雇できるようにしないと新規雇用もできませんからね。人口が猛烈な速度で増加していたり、経済が急成長しているなら話は別ですが。しかし解雇規制緩和というと社会のアレルギー反応がものすごい。解雇しやすくなるというのは、雇用しやすくなるの裏返しなんですがね。とにかく同一労働同一賃金の実現には雇用の流動性も不可欠と言われています。

www.j-cast.com

www.nikkei.com

 

上の記事にもあるけど、同じ企業に何十年も務めてプロ経営者、プロ管理職になれるとは到底思えないんですよね。もはや管理職や経営者は外部から招聘する時代だと思います。そうなると大企業に入社しても出世なんてできない。生え抜きには価値がないから。色んなところで経験と実績を作って、自らキャリアを作り出していかないとダメな時代なんでしょうなー。これを全国民が実践すると1人当たりの生産性も上がるでしょう。ま、結局やるのはごくごく一部の人間だけなんですがねー。

 

おしまい。