最近以下のような言葉を良く耳にしますね。
- 最近日本も物騒な世の中になってきた。
- 最近の子供は治安が悪くて公園で遊べないらしい。
- 最近は物騒だから女の子は夜道も歩けない。
でもこの認識は全部誤りですよ?
以下参考:日本の犯罪と治安 - Wikipedia
戦前から今までの犯罪認知件数推移
犯罪認知件数とは、要するに犯罪件数です。しかし、犯罪発生そのものが発覚していない場合はカウントのしようがないので、認知件数と呼びます。この認知件数のグラフを見ると、戦前から犯罪の認知件数は増加傾向だったことが分かります。しかし、2000年代前半をピークに認知件数は減少傾向になりました。しかも、ものすごい勢いで減少しています。今や犯罪の認知件数は1980年代と同じくらいまで減っています。
犯罪認知件数が増えたのは人口が増えたから
「そっかー、戦前から日本の治安は悪化の一途を辿っていたんだなー」っと思った方、甘い。非常に甘い。犯罪の認知件数が増えたのは日本の人口が増えたからです。単純に戦前から今まで日本の人口は2倍になっています。このため、犯罪認知件数を人口で割ると、10万人当たりの犯罪認知件数は横ばいになります。
が、しかし1980年から2000年代前半までは犯罪認知件数はやはり増加傾向にあったようです。1980年からの20年間は「日本の治安は悪化してきたなー」というのは間違いでもないようです。しかし、今はその1980年と同水準に戻っています。この水準は戦前から見ても平均的な水準。特に治安が悪いとは言えないでしょう。
でも凶悪犯罪は増えてるんでしょう?
増えてません。
全体の犯罪件数は戦前から増えてきたにも関わらず、殺人に関しては戦後から減少の一途を辿っています。殺人事件が増えて日本も物騒な時代になった?一体なにを見てそんなことを言っているのでしょうか?むしろ殺人事件は毎年過去最少を更新しています。増えていると錯覚しているのは、テレビを始めとしたマスメディアの報道に左右されている部分が大きいと思います。殺人事件についての時間配分を増やせば、あたかも殺人事件が増えていると錯覚してしまいますからね。まあ、それだけで増えていると思い込むこと自体、1人の大人として問題あるんですけどね、本当は。
人口は増えたのに殺人事件が減っている
しかし、先ほどのグラフは殺人事件の認知件数です。日本の人口は増えています。つまり、人口当たりの殺人事件は更に減っているんです。
- 殺人事件の認知件数は1954年から66%減
- 殺人事件の10万人当たり認知件数は1954年から77%減
戦後の混乱期から殺人事件は8割ほど減っています。ちなみに現在の日本の10万人当たりの殺人事件認知件数は世界でもトップレベルの低さです。10万人当たりなので、人口が少ない国が大きく動きやすく、場合によっては極端に低い数値を叩き出したりしますが、日本は人口が1億以上もいる大国であるにも関わらず、そのような人口が少ない国々の中に混じってランクインしています。正直、統計が間違っているか、ちゃんと認知件数をカウントしてないんじゃないの?と疑いたくなるレベルです。
なぜ2000年代前半は急激に犯罪認知件数が増えているのか?
ここで話を少し戻します。殺人事件は減っていますが、犯罪件数そのものは増えています。何が増えているんでしょう?それは窃盗と業務上過失致死傷だそうです。
業務上過失致死傷罪は交通事故に関するものが多いそうです。つまり、自動車の普及とともに増えてきた歴史があるようです。一方で、窃盗は1980年から2000年代前半にかけて一気に増加しています。全体の犯罪件数の増加はほぼ窃盗の増加とイコールのようです。
10万人当たりの件数を見ても窃盗の増加が群を抜いています。恐らく万引きやひったくりなど窃盗でも被害額が小さい事件が増えたのだと思いますが、ここは窃盗の内訳を調べてみないと分かりません。窃盗の内訳については別記事として詳しく調べてみたいと思います。
まとめ
- 犯罪認知件数は戦前から2000年代前半まで増加傾向だった
- 犯罪認知件数の増加は人口増加によるものが大きい
- 犯罪認知件数は2000年代前半から急減している
- 1980年から2000年代前半にかけて窃盗が急増した。今は戻っている
- 殺人事件は戦後から減少傾向が続いており、現在は過去最低水準
- 2000年代前半ならともかく、今は物騒な時代になったとは決して言えない
おしまい。