アメリカの機関がテロに関する統計データを公開しているので、調べてみました。公開されている最新情報は2014年なのですが、近年の世界のテロ事件や組織の傾向が読み取れます。以下、2014年の1年間の統計です。
テロ事件の多い国
イラクが最も多い国だそうです。その数は3925件。1日に10件は国内のどこかで発生している計算になります。2時間に1件くらいのペースですね。続いて多いのがパキスタンの2146件。2014年はパキスタンの軍事学校がテロリストに襲撃され、職員や学生150名近くが殺害されるペシャワール学校襲撃事件がありました。
意外にもシリアが326件と下位にいます。が、これは注釈付きです。シリアはあまりに危険なため、正確な情報を収集できないとのこと。これは低めに見積もりしているので、実態はもっと多くなるだろうとのことです。
テロ事件の被害者が多い国(死者数)
残念ながらイラクはテロ事件数、死者数ともにワースト1位です。これはISIS(ISIL)によるものが大きいと推測できます。続いて多いのはナイジェリアです。ナイジェリアはテロ事件数は713件でインドよりも少ないのですが、死者数は飛びぬけて多いです。これはテロ事件をカウントする定義で上下してしまうのでしょうがないのですが、ナイジェリアは悲惨な事件が多いことが推測できます。そういう意味ではシリアも同じです。低めに見積もりしたにも関わらず、死者数はワースト4位です。実際にはこれより多くなると思います。
主なテロ組織と事件数
ISIS(ISIL)によるテロ事件が世界で最も多いです。その数は1263件にも及びます。1日3~4件のテロ事件を起こしている計算になります。とんでもない犯罪組織です。続いて多いのはアフガニスタンのタリバン。世界同時多発テロ後の米軍派兵により壊滅状態になったタリバンですが、オバマ政権によるアフガニスタンの米軍撤退もあり、その勢力が回復してきていると言います。アフガニスタンは再びタリバンの支配下になりつつあるのだそうです。そして、3番目に多くの事件を起こしているのはアル・シャバブ。アフリカのソマリアを中心に活動しているテロ組織です。ここでも1日2~3件のペースでテロ事件を起こしていますね。
主なテロ組織と死者数
ISIS(ISIL)がここでもトップです。死者数はなんと9596人。これは2014年だけの数字です。2015年はもっと増えているかもしれません。1日に27名も殺害していることになります。とんでもない数です。2番目に死者数が多いのはナイジェリアのボコハラム。国別のテロ事件死者数において、ナイジェリアが2位になったのはボコハラムが原因です。非常に過激的な組織でナイジェリア軍も手を焼いているのが現状のようです。ナイジェリアのテロ事件で亡くなる人数が7774名ですが、ボコハラムによる死者数は7112名です。ナイジェリアのボコハラムの事件がいかに多いのかが想像できます。
世界のテロ事件の発生数の推移
死者数が100名を超えるテロ事件の発生数を1970年からグラフ化したものです。ここ数年が異常に高い数値を記録しています。死者が100名を超える事件というのは簡単に起こるものではありません。日本で記憶に新しい事件は下記のとおりです。
- JR福知山線脱線事故 死者107名
- 2014年広島土砂崩れ 死者76名
- 秋葉原通り魔事件 死者7名
- 地下鉄サリン事件 死者13名
どれも悲惨な事故、災害、事件ですが、世界では福知山線脱線事故と同じ規模の事件が世界中で急増しているそうです。
テロ事件が発生するたびに「テロに屈しない」と報復攻撃を強化してきましたが、この推移を見ると全然意味ないですね。確かにテロ組織の要求に応える必要はないのかもしれませんが、最近は要求らしい要求もなく、もはやテロ攻撃することが目的になりつつあります。なんとか平和な方向へと傾向が変わってくれることを祈っています。
参考:https://www.start.umd.edu/pubs/START_GTD_OverviewofTerrorism2014_Aug2015.pdf
おしまい。