三菱自動車が数値を改ざんし、燃費を実際よりも良く見せていたことが発覚しました。三菱自動車といえば、2000年代にリコール問題で倒産寸前まで追い込まれた企業。そんな会社で今回のような問題が発生し、社内文化は全く変わっていないのではないかと、今までの苦労がすべて吹き飛びかねない状況になってます。
経営再建したばかりの三菱自動車
一般的にはリコール問題後、ずっと低迷していると思われがちですが、直近の業績は好調です。ここ数年は過去最高水準を維持しています。これは海外展開を進めたことと、2013年からはアベノミクスの円安の恩恵を受けたことによります。
国内市場は苦戦している
海外展開の中でも、新興国への販売台数は顕著に伸ばしてきました。今となっては国内販売台数は総販売台数の1割も満たしません。アジアの次に販売台数を稼いでいるのが「その他」になっていますが、ここは主に「ロシア」や「アフリカ」だと思います。三菱自動車は三菱商事の力で他のメーカーが進出できていなかった地域に積極的に進出できたと言われています。
海外依存度が高いので、今回の影響は軽微?
三菱自動車は海外依存度が高いので、今回の問題における信頼失墜やブランド力の低下による経営危機は当初は起きないと思っていました。しかし、今回燃費操作が明らかとなった機種は「eKワゴン」「eKスペース」です。この車種、OEM供給といって、日産自動車にも提供している車種なんです。日産自動車はこの車種を「デイズ」と「デイズルークス」という名前で販売されていました。
- 「eKワゴン」「eKスペース」 15万7千台
- 「デイズ」「デイズルークス」 46万8千台
しかも日産自動車の販売台数の方が圧倒的に多いのです。つまり、日産自動車の信頼やブランドも傷つけてしまう結果に。こうなると、三菱自動車は日産自動車から損害賠償請求を受ける可能性があります。この額にもよりますが、場合によっては再び経営危機に陥る可能性もあるわけです。
日産自動車とは関係が悪化していた
もともと三菱自動車と日産自動車の軽自動車共同開発は2015年くらいからゴタゴタが続いていました。軽自動車の開発生産を続けたい三菱自動車と、自社生産に切り替えていきたい日産自動車で歯車が狂っていったのです。
そして今回の燃費不正操作事件。日産自動車との共同陣営は解消されるかもしれません。となると、三菱自動車だけでは軽自動車を開発する余裕がないので、三菱自動車は軽自動車から撤退せざるを得ないでしょう。
東洋ゴムや東芝など、大企業の不正が続きますね。これらは生え抜き社員だけで経営陣を構成する限界が来ている表れだと思います。この件については先日書いているので、こちらもどーぞ。
2016/05/12 追記
新たな展開になってまいりました。
おしまい。