東洋ゴム、東芝、三菱自動車など大企業の粉飾やデータ改ざんが止まりません。三菱自動車に至ってはリコール隠しで倒産寸前まで追い込まれたにも関わらず、また不正を働いてしまいました。常識的に考えて有り得ないことなのですが、大企業で働いてきた僕には理由が大体分かります。
不正を働く企業の特徴
不正が起きる企業に特徴的なのは、
- 高い目標を掲げている
- 強いリーダーシップを発揮している
以上の2点が共通として存在しているそうです。ただ、これは競争力の高い企業も同じだそうで、どちらに転ぶかを運転するのが経営の難しさだと専門家は仰っていました。しかし本当にそうでしょうか?特に2つ目の「強いリーダーシップ」は違うと思います。
- 競争力が高い企業の経営者は強いリーダーシップを持っている
- 不正を働く企業の経営者は強い権力を振りかざしている
これだと思います。リーダーシップを勘違いしている素人経営者が大企業に多すぎるのではないかと推測しています。
強い権力を振りかざす経営者の特徴
彼らは経営者ではなく権力者です。このため、社員に対しては厳しく対応します。
- ノルマを達成できず → 減給・降格・左遷
こんなことを日常的に実行します。成果主義と言えば聞こえは良いですが、これは単なる懲罰人事です。本来、成果主義は成績が良い社員を優遇することであって、成績が悪い社員を冷遇することではありません。さらに、往々にして、このような企業は成績が良い社員に対して大した対価を与えていません。年功序列ですから。これはマネジメント(リーダー)ではなく、単なる圧力(権力者)です。
こうなると、社員は何が何でもノルマを達成しようとします。この「何が何でも」の選択肢に「不正」を入れてしまうのが不正を働く企業の特徴なのです。しかし、不正を働くと企業業績に致命的なダメージを与える可能性があります。「そんなこと社員が望むわけがない、だから不正も躊躇するはずだ」と思われるかもしれません。が、しかし、実は社員は業績など関心が薄いのです。
大企業の社員にとって業績は結構どうでもいい
大企業は簡単には倒産しないので、企業業績に対する関心が薄いです。余程の赤字にならない限り、年度が変われば昇給しますし、残業代もきちんと支払われます。むしろ残業代削減のために早く帰れるようになって、ワークライフバランスが充実!なんて人も多いかもしれません。賞与は下がりますが、毎月貯金ができている人だと賞与は臨時収入のようなものですし、そもそも大赤字でも賞与はゼロにならないのが大企業です。ここまで強固に守られていると、社員1人1人の業績への関心は希薄となっていきます。
また、大企業は社員の業務内容が細分化されています。社員の評価は細分化された仕事の達成度や成果で決まるもので、企業業績は関係ありません。「業績に関しては経営陣が責任を取るもの」という認識の社員が大半で、大赤字でも自分の仕事内容の達成度や成果が高ければ、その対価が与えられて当然と考えており、また人事評価もそういったシステムになっています。
社員によるデータ改ざんは自爆テロ
企業の業績がどうなっても倒産しない限り安定した給与が保証されている社員たち。そんな社員に圧力をかけることしか脳がない経営者しか存在しなかった場合、何が起こるでしょうか?社員は平気でデータ改ざんを行います。真面目にデータを使って仕事をしていると、自分の人事評価が下がるからです。もし不正が明らかになり、業績に大きなダメージが発生しても、業績悪化は経営陣の責任です。社員からすると、「不正すれば自分の人事評価は高くなり、バレても無理難題を押し付ける経営者がクビになる」だけです。社員にとって不正するメリットが大きいのです。本来、業績悪化は不正に対する抑止力になるのですが、大企業の社員は業績に疎いので抑止力になりません。不正により企業が倒産すれば社員も致命傷を受けるわけですが、倒産まで追い込まれる大企業が少ないのも事実ですし。これはもはや社員による経営陣への自爆テロとも言えます。
僕の主張は、こういった問題を解決するために社外取締役を推進するというものです。半数は社外取締役でいいのではないでしょうか。最近は社外取締役の採用も増えてきていますが、官僚や教授など経営のプロとしてはどうなのか?という人選が目立ちます。詳しくは別記事をご覧ください。
こんなのが続くと国全体が沈んでしまいます。実際、ものづくり大国とか言われていますが、この国の製造業なんて大したことないですよ。このままだと非常にヤバイです。
おしまい。