なくならない飲酒運転事故。単独事故だけでなく、他の歩行者や車両を巻き込んで人が亡くなるケースも残念ながらゼロになっていません。最近は自動車も安全になってきているので、飲酒運転者が生きて相手が亡くなるなんてケースも多いですね。この度に聞こえてくるのが飲酒運転の厳罰化。しかし、2006年の福岡市職員の飲酒死亡事故により厳罰化は実施されています。まだ必要なのでしょうか?
2006年の福岡市職員により飲酒死亡事故
当時、僕はまだ福岡に住んでいました。なのでこの事故はよく覚えています。全国的なニュースになりましたが、福岡のローカル放送や地方紙でも連日大きく取り上げられていました。福岡に住んでいれば多くの人が知っている場所だったのもショックを大きくしましたね。
全交通事故に占める飲酒運転の割合は激減
日本損害保険協会 - SONPO | 防災・防犯・交通安全 − 飲酒運転対策
事故があったのは2006年。見てください明らかに2007年から飲酒運転の事故件数が激減しています。前年比4割弱もの減少です。公務員だけでなく、多くの企業が飲酒運転で懲戒免職など処分を重くしたことが数字として表れました。その後も飲酒運転の事故件数は減り続けています。
そして、今や全交通事故に対する飲酒運転の事故件数は0.7%となっています。飲酒運転を原因とした交通事故は今やたったの0.7%しかないんですね。
全死亡事故に占める飲酒運転の割合
厳罰化前の2006年度は交通死亡事故に対する飲酒運転の割合は13.8%でした。それが2015年度では6.2%にまで減少しています。しかし、全交通事故に占める飲酒運転の割合が0.7%であることを考えると、いかに飲酒運転による交通事故が危険であるかが分かります。それだけ飲酒運転による事故は死者を出しやすいということです。
法改正でこれ以上飲酒運転を減らせるのか?
現時点で全交通事故に対する飲酒運転の割合は0.7%になっています。これを法改正により0%にもっていくのは厳しいと思います。10%を1%にするのと、1%を0%にするのとではコストが全然違うからです。
また、飲酒運転だけでは交通違反にしかならないことも問題を難しくしています。結局、飲酒運転が刑事罰に発展するのは交通事故が起きてからです。多くの飲酒運転者は「自分は事故を起こさない」と根拠なき自信を持っているので、交通事故が起きたあとの刑事罰を強化しても抑止力は限定的です。
ということで、刑事罰の厳罰化ではなく交通違反の罰則を重くするほうが効果的と考えます。ただ現時点で交通違反についても酒酔い運転や酒気帯び運転は懲役刑を含む刑事罰が用意されており、この数字を引き上げただけで違反者が本当に減るのか個人的に懐疑的です。どんなに厳罰化しても殺人事件がなくならないのと同様、飲酒運転もなくならないのですかね…。難しい問題です。
おしまい。