日本人のノーベル賞受賞が止まりません。時には複数の受賞により最初に発表された人の影が薄くなってしまう事態まで起きています。戦後、経済大国で先進国になったものの、基礎研究が弱いと言われていた日本。今後もノーベル賞を連発しまくるのでしょうか?
いつの研究が多いのか?
ノーベル賞は研究や開発が発表されてすぐ受賞できるものではありません。場合によっては先を行き過ぎてて生きている間に評価されない場合もあります。まるで画家のゴッホみたいですね。そこで、受賞年別のノーベル賞受賞者数ではなく、受賞理由となった成果が報告された年別にノーベル賞受賞者数をグラフにしてみました。Wikipediaで調べてまとめたので、若干の誤差はあるかもしれませんが、大まかな傾向は見て取れると思います。
すると、1970年代に発表された成果によるノーベル賞が最も多いことが分かりました。これは非常に面白いデータです。「日本は経済大国で先進国であるにも関わらず、欧米が開拓した科学技術を使って製品を作っているだけだ」といった指摘や批判が生まれ始めたのが1970年くらいからでしょう。1970年代に日本を含めたG5が始まっています。ここら辺から基礎研究に力を入れ始めたのではないかと推測できます。
経済とノーベル賞の関係はどうか
さきほどのノーベル賞受賞者数のグラフに日本の経済成長率を重ねてみます。
1940年代は終戦の経済崩壊という異常値で変なグラフになってしまうのですが、なんとなく傾向が似ているように見えます。更に、景気のピークから少し遅れて景気対策の財政出動が行われるので、予算は経済成長率より若干後ろになるはずです。10年ずらしてみましょう。
10年ずらして線をなめらかにすると恐ろしいくらいピッタリとなってしまいました。
しかし受賞にはタイムラグがある
さきほどのグラフには注意しないといけないことがあります。それはノーベル賞受賞には時間がかかるということです。90年代や2000年代の研究や開発はまだ時代が追いついていない可能性もあるのです。このタイムラグは年々伸びていて、2010年代の受賞者数の平均は29.2年となっているそうです。つまり今は1980年代の発表が多いということ。90年代以降は先ほどのグラフで低めに出るのは「まだ早いから」が原因の可能性もあります。
科研費の推移
念のため研究予算である科研費の金額推移も調べてみました。
https://www.jsps.go.jp/j-grantsinaid/27_kdata/data/1-1_h24.pdf
すると、科研費の中身は調べていないですが、絶対値は右肩上がりであることは分かりました。それでも2400億円ってどうなの?という話もありますが、今回は言及しません。あまり経済成長率とノーベル賞は関係なかったのかなー(;´Д`)
経済が成長すると基礎研究の貢献の少なさが目立ってくるというのは日本だけではなく、現在は韓国や中国も気にし始めているようです。特に中国はようやく自然科学分野でノーベル賞受賞者数を輩出しましたし、近年の基礎研究に対する投資は凄まじいものです。30年後くらいには中国人の受賞者が増えてくるかもしれませんね。日本も負けて入られませんが、人種や国籍を問わず、こういった自然科学分野はどんどん進展させていってもらいたいですねー。
参考:
ノーベル賞受賞までの年数 | 吉村やすのり 生命の環境研究所
おしまい。