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マクドナルドの業績回復は本物か?売上と利益などの推移と予想をまとめました

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異物混入や期限切れ肉納入事件で客足が遠のいていた日本マクドナルドに、客足が徐々に戻ってきているそうです。実際にこの事件前後から今までの業績について調べていなかったので、今回は日本マクドナルドの業績推移を調べてまとめてみました。

 

不祥事が相次いで報道された2014年

日本マクドナルドが一気に炎上したのは2014年夏から2015年にかけてです。

www.afpbb.com

中国の食肉工場が期限切れの肉を使って日本マクドナルドに納入していることが判明しました。また、内部告発による動画も拡散し、地面に落ちたチキンナゲットのような肉を再びラインに戻す様子が映っていました。

この炎上を契機に、今度はマクドナルドの異物混入の報告が急増しました。この報告はネットに留まらずマスメディアでも競って報道され、今日は〇〇店のチキンナゲットにビニール片、今日は△△店で歯が混入といった具合に連日報道されました。 ここまで加熱すると、「それは偽造じゃないの?」「それはマクドナルドに限らず、稀にある話だよね」といった内容も増えてきました。「炎上」から「叩き」に変わった瞬間です。昔から三菱自動車のリコール問題(最後には自ら火をつけて炎上したと報告する者まで現れる)のように「異常に叩く」ステージに発展することは、よくある話です。

更に状況を悪化させたのが日本マクドナルドの初動対応でした。カサノバ社長の会見が炎上から相当遅れた上に、会見内容が不誠実だと火に油をそそぐ形になってしまいした。もともと、社長など会社トップが謝罪するというのは日本独特の文化でもあるので、タイミング的に初の外国人社長というのもマイナスに寄与してしまったのかもしれません。

 

急激に減少する売上高

これら2014年の不祥事や炎上により日本マクドナルドは急激に売上を落としていきました。

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 しかし、あることに気がつきます。売上は2011年から下がっていたのです。

確かに2015年の売上は2014年から大きく下げているのですが、2014年も2013年から大きく下げています。2014年は半ばから問題が表面化してきたので、その影響も考えられなくはないですが、2013年も2012年も前年から売上を落としています。このため、正確には、もともと業績の悪化が止まらなかった状況に不祥事と炎上で2015年も歯止めがかからなかったということでしょう。

また、2011年から2013年までは日本マクドナルドの売上は減少傾向ですが、フランチャイズ収入は踏みとどまっています。しかし、このフランチャイズ収入が不祥事以降の2014年から急減少しています。もしかすると不祥事や炎上による経営ダメージは個人事業主や地方企業が運営するフランチャイズ店の方が大きかった可能性があります。彼らは食品製造は日本マクドナルドに委託しているようなものでしょうから、これはあまりにも残酷ですね。。

 

不祥事で赤字転落

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売上が減れば利益を確保することも難しくなります。不祥事後の2015年は242億円もの営業損益となりました。ただ、ここでも気になるのは2013年の営業利益です。2012年と比較して営業利益が半減しています。売上が半分にならなくても利益は半分になるのですね。この時点でマクドナルドから客足は遠のいていたことが分かります。このスランプの時期に不祥事と炎上が重なったため、大幅な業績悪化を招いたことが営業利益の推移からも分かります。

しかし2016年で客足が戻り始める

2016年の売上予想にフランチャイズと直営の詳細がないので、売上推移のグラフには載せなかったのですが、営業利益の推移には2016年の営業利益見込みを入れています。その額は50億円の営業利益見込み。実際に第三四半期までの業績は黒字で推移しており、業績の回復は明らかとなってきています。 

 

なぜ黒字回復しそうなのか

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2016年のフランチャイズと直営の詳細はありませんが、売上全体の予想はあります。これをフランチャイズと直営を区別せずに並べてみたのがこのグラフです。すると、2016年の売上は2014年と同規模であることが分かります。とはいえ、2014年も69億円の営業赤字でした。これが50億円の営業利益となるので、単純に100億円ほどギャップがあります。つまり、客足が戻って売上が増加しただけではなく、不採算店舗の閉鎖や広告費の抑制を行なったことが想像できます。これにより2016年は3年ぶりに黒字に転換する予定となっています。

日本マクドナルドが黒字になる理由

  • 客足が増加傾向に転換した
  • 不採算店舗の閉鎖など経営効率化を進めた

 

なぜ2011年から客足が鈍ったのか

まだ疑問が残ります。それは「なぜ2011年から業績が悪化していたのか?」です。2011年といえば何があった年でしょうか。東日本大震災がそうですが、僕は安倍政権の誕生が原因だと推測します。

日本マクドナルドはデフレ勝ち組企業

日本経済がデフレで苦しんでいる間、デフレ経済下で成長する企業はデフレ勝ち組企業と呼ばれるようになりました。日本マクドナルドもその企業の1つです。しかし、安倍政権の誕生により、日銀の大規模金融緩和、国策としてインフレ推進が行われます。こうなると自然とデフレ企業の業績は悪化していきます。これが2011年から2013年にかけて日本マクドナルドの業績が悪化した原因だと推測します。実際に同じ外食のデフレ企業であるゼンショーグループが経営する「すき家」も大きく業績を悪化させました。すき家も同様にブラックバイトなど炎上を伴っています。

これは完全に個人的見解なのですが、景気が悪くなるとマクドナルドやすき家の業績が向上し、景気が良くなると業績が悪化します。なぜか吉野家はその逆を行きます笑。もし2017年も日本マクドナルドの業績が伸びるようだと、日本の景気は後退期に差し掛かっているのかもしれません。そもそも2016年の日本の経済成長率は良くありませんから、これもまた日本マクドナルドの業績回復と相関してしまっていますよね。

 

マクドナルドの業績は今後も回復するのか

先に述べたように景気の動向や業績の一時的な調整に不祥事が重なっただけだとすると、不祥事のネガティブイメージが一巡し、景気の先行きが怪しくなると業績が回復していくことが予想できます。また、景気の状況に関わらず、不祥事のネガティブイメージが一巡するだけでも業績は一部回復するでしょう。ネットやテレビではマクドナルドはもう終わった、再生は容易ではないと言った論調が目立ちましたが、上記のように経済的に客観視している人は業績悪化は一過性のものであると傍観していたようです。そんな人がいるのかと思われるかもしれませんが、います。株式市場(株主)です。

www.nikkei.com

日本マクドナルドの株価は業績悪化にも一連の不祥事にもほとんど反応していません。それどころか株価は上昇する場面もありました。業績改善が現れだした2016年は過去15年の最高値をつけています。2011年より業績が悪いのに、株価は今の方が高いのです。株主や株式市場は日本マクドナルドの今後に全く悲観的ではないようです。このことからもマクドナルドの業績が今後も回復する可能性は十分にあり得ると思います。

 

実は今日マクドナルドに行ってきたのですが、日曜とはいえ14時なので空いているだろうなと思ったらドライブスルーは渋滞。席も八割は埋まっていました。ここ1年は日曜のお昼時でも閑散としていたのですが、カルビマックが好評なのか何なのか客が多かったです。不祥事以降は穴場のように空いてて利用しやすかったんですけどねえ。。。