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ぺぷしのーげん

大企業からスタートアップに転職したアプリケーションエンジニアのブログ

米自動車3社の業績と日本車とアメリカ車の日米市場の売上比較をしてみました|トランプ大統領の自動車貿易不公平発言問題

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アメリカのトランプ大統領は共和党代表戦から日本の自動車メーカーを名指しで批判してきました。大統領に就任しても発言は修正されず、むしろ具体性を増しつつあります。トランプ大統領の批判は1980年代からの状況変化にあまりに無知だと日本から批判と嘆きの声が聞こえますが、今回は具体的にアメリカの自動車メーカーの近況と業績について調べ、不公平なことが本当に起きているのかどうかを調べてみました。

 

米自動車3社(ビッグスリー)について

アメリカにはビッグスリーと呼ばれる大手自動車メーカーが3社存在します。

  • General Motors(GM)
  • フォード
  • クライスラー

戦前なんかは日本の自動車はアメリカ車には品質で足元にも及ばなかったのですが、高度経済成長期を経て、次第にアメリカ車に対して優位性を持つようになります。リーマンショック後にはGMとクライスラーが経営破綻するなど、一時代の終焉を迎えたわけです。そんなネガティブなイメージの強いアメリカの自動車メーカー。現在の経営規模はどのようなものなのでしょうか?

 

ビッグスリーの年間売上

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ネガティブなイメージに反して、売り上げ規模は未だに立派な大企業です。3社合わせて37兆円もの売り上げがあります。ビッグスリーの名に恥じない売り上げ規模です。もう少し数字に直感性を持たせるため、このグラフに日本の自動車メーカーを追加してみます。

 

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こんな感じになります。トヨタが1つ頭抜けていますが、ホンダやニッサンはビッグスリーと同等かそれ以下の規模になってしまいます。もはや弱小のイメージすらあるアメリカ車ですが、売り上げ規模だけをみると日本メーカーに負けず劣らずで未だ健在であることが分かります。

 

ビッグスリーの当期利益

そんなこと言っても売り上げだけで赤字なんじゃないの?と思いますよね。今度は当期利益を調べてみました。

 

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フォードが全然ダメですが、GMとクライスラーはホンダとニッサンを大きく上回っています。トヨタは別格ですね。フォードはアメリカビッグスリーでは唯一破産を免れた会社なのですが、今や完全に出遅れていますね。一度破産したほうが負の遺産を整理できるので、GMやクライスラーは競争力が増してきているのかもしれません。

 

アメリカで日本車が売れているのは本当か?

では次にアメリカで日本車が売れているというのは本当なのでしょうか。トランプ大統領は日本車はアメリカで売りまくっていると述べています。というわけで、アメリカ市場の自動車メーカーのシェアを調べてみました。

 

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トヨタが第3位というのは驚きました。外車が販売シェアで3位ってすごいですよね。しかも、1位のGMと2位のクライスラーに肉薄しています。アメリカのビッグスリーがトップスリーだと思っていたので、確かにこの数字は面白くないと感じるアメリカ人が一定数いてもおかしくありませんね。ホンダとニッサンも高いシェアを維持しており、日本の3社でアメリカ市場の3割を確保してしまっています。アメリカで走っているクルマの3台に1台が日本車と考えると日本人は嬉しいですが、これまた面白くないアメリカ人もいるでしょう。余談ですが、7位に位置する韓国のヒュンダイも大健闘ですね。アメリカで飛ぶように売れていると言われているスバルも、市場全体のシェアでみるとまだヒュンダイ以下なんですね。

 

日本でアメリカ車が売れていないのは本当か?

日本でアメ車はほとんどみませんが、数字でもそれは示すことができるのでしょうか。日本の自動車販売台数をメーカー別にグラフ化してみました。

 

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日本でもトヨタがダントツです。国内市場といえど、ホンダやニッサンは合算してもトヨタの半分にしかならないのですね。アメリカ市場と大きく違うのは、販売台数の上位を日本メーカーが独占していることです。上位6社が日本メーカーです。(というか、日本メーカーだけで6社もあるというのが異常なのですが。)市場が縮小傾向な上にこの厳しい競争の市場では、海外メーカーにとっては美味しくない市場かもしれません。

さて、このグラフでは海外メーカーの差が見えないので、一旦日本メーカーを取り除いてグラフを作り直してみます。

 

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海外メーカーに限ってもアメリカ車の存在感は強くはありません。クライスラーがそれなりに検討してはいますが、GMやフォードは見る目も当てられません。価格が全然違うフェラーリと台数が良い勝負だったり…。ちなみにクライスラーは販売台数の多くがグループ会社であるイタリアのフィアット車です。なので、台数はそれなりなのですが、アメリカ車としては全然売れていません…。

余談ですが、アルファロメオって日本でこれだけしか売っていないんですね。ものすごく良いイメージがあるのですが、確かに走っているのはそんなに見ないか…。

 

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先ほどの販売台数を国別で円グラフにするとこうなります。日本市場の海外販売シェアはドイツ車が圧倒しています。アメリカ車は2位と想像以上に検討しているように見えますが、先にも書いたようにイタリアのフィアットの貢献が大きいです。このため、日米の自動車貿易では日本の一方的な貿易黒字であることはやはり明確なようです。が、日本が規制で外車を締め出していると批判するのであれば、まずはドイツ車なみに日本で売ってから言えよ、とは思いますね。それともアメリカ車だけ規制しているとでも言うのでしょうか?

 

アメリカ車にとって不利な規制が日本にあるのか?

では本当に日本にはアメリカ車に不利な規制がないのでしょうか?実はアメリカの自動車メーカーは日本のとある法律を批判しています。それは軽自動車です。軽自動車は日本独自の規格で、海外メーカーが参入するには高いハードルがあります。他の国で売れないからです。TPP交渉ではアメリカの自動車メーカーが日本の軽自動車を批判し、話題となりました。これに日本政府も譲歩の姿勢を見せ、実際に軽自動車の税金は値上げされました。このときズズキの鈴木社長は激怒していましたね…。トランプ大統領の圧力によっては軽自動車税の更なる増税、最悪の場合は軽自動車規格の廃止に追い込まれるかもしれません。そうなるとスズキやダイハツの業績は大変なことになります。これだけの大混乱が予想される一方で、軽自動車が廃止されてアメリカ車が売れるようになる可能性は微塵にも感じないというのがすごい笑。

 

まとめ

  • アメリカの自動車3社の売り上げ規模は未だ健在
  • アメリカの自動車3社の利益もホンダやニッサンを上回る
  • アメリカの自動車市場でトヨタは3位と大健闘している
  • アメリカの自動車市場でトヨタ・ホンダ・ニッサンだけで3割を超える
  • 日本の自動車市場でアメリカ車で全然売れていない
  • 日本の外車市場でアメリカ車はドイツ車に次いで2位だが、中身はクライスラーのグループ会社であるイタリアのフィアット
  • 日本の外車市場はドイツ車の独壇場
  • トランプ大統領の圧力に屈すれば軽自動車の増税や規格廃止の可能性もある

 

参考