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本当に保育園は保育士に妊娠ルールを強いるほど経営状況が厳しいのか調べてみました

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保育園が保育士に妊娠の順番決めをしているという記事が話題になってます。これに対して保育園側を非難する声が上がっていて、また識者からは男女雇用機会均等法や育児・介護休業法違反であると強く問題視されています。一方で、労働者不足や補助金が足りないせいだと擁護する声も一部あります。そもそも違法行為なので同情の余地はないのですが、本当に経営が厳しいからの苦渋の対応であるのか調べてみました。

保育士の平均給与は他の業界より安い

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まずは保育士の平均給与ですが、他の業界と比較して安いとよく言われています。実際に厚生労働省が発表している資料を確認してみると、常勤の保育士で比較しても公立で6.6%、私立で16.2%も安いです。それでは保育園というのは給与を抑えなければ利益がでない低収益な業界なのでしょうか?

黒字の保育園の割合

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全国の保育所の黒字施設割合は86.07%です。首都圏から地方まで含めてこの数値です。全法人の黒字割合が33.6%であることと比較すると、保育園が安定して利益を上げやすいビジネスモデルであることが分かります。しかし、黒字でも利益率が低ければ薄利多売で人件費は安くなるかもしれません。利益率は低いのでしょうか?

保育園の利益率

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保育園は厚生労働省が報告している全国の私立保育園収支の差引割合を示しています。単純比較できませんが、これを誰もが知る大企業の営業利益率(2017年度)と比較してみました。アベノミクスで好調な輸出企業の営業利益率と比較してこれですから、保育園が薄利のビジネスモデルであると言える結果にはなりません。

採用人事の経営責任を労働者である保育士に責任転嫁すべきでない

ここまでで分かったことは、現実の保育園業界の経営状況が極めて薄利で厳しい状況に追い込まれているとは言えないということです。また、保育士は他の産業より1割も安い人件費相場となっており、給与を上げる余地があるにも関わらずそれを行わず人手不足に陥っているのは経営の失敗です。その批判の矛先を妊娠ルールを作って保育士同志に向けさせる違法行為は、徳川幕府の身分制度を思い起こさせます。国や行政には違法行為を行う保育園を厳しく指導し、また補助金など支援できるところは速やかに支援していってほしいものです。

参考文献

http://www.mhlw.go.jp/toukei/list/dl/163-1a.pdf

http://www.wam.go.jp/content/files/pcpub/top/scr/16012_report0113(2).pdf

http://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/chingin/kouzou/z2016/dl/13.pdf

https://kaikeizine.jp/article/1348/

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https://www.panasonic.com/jp/corporate/ir/pdf/panasonic_summary_j.pdf