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東京オリンピックの予算3兆円は他の開催国と比較して高いのか?ついにIOCも削減要請する事態に

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コンパクト五輪というコンセプトはどこへ行ったのでしょう。東京オリンピックの予算の肥大化が止まりません。小池新東京知事になって、見直しや開催施設の変更が検討されて先が見えない状態になっています。国立競技場のデザインと同じことが別の施設でも起きている状況ですね。さて、今回はその3兆円という数字が一般的に予算として高いのか、低いのかを調べてみました。

 

過去の五輪予算と東京オリンピック予算の比較

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調べた五輪予算を1ドル100円換算し、降順で並べてみました。全てのオリンピックではありませんが、過去11のオリンピックと比較すると2020東京オリンピックの予算3兆円は3位になります。さらに4位のアテネとは1兆円以上の差をつけています。1964東京オリンピックと比較すると3倍なのですが、ここは物価が違うので単純な比較はできません。

ソチオリンピックと北京オリンピックは2020東京オリンピックを遥かに超える予算を使っているので、東京オリンピックの3兆円は特別高過ぎるとは言えないと考えることはできます。しかし、ソチと北京の開催国であるロシアと北京は社会主義国のトップ2です。両国はスポーツを政治利用する傾向があると度々非難されています。社会主義国の大国ならではのインフラ整備や投資を行なった結果なので、成熟した資本主義国の日本が比較するには適した開催国とは言えません。そう考えるとやはり東京オリンピックの3兆円という予算は高過ぎると言えます。実際に日本と同じ成熟した資本主義国であるイギリスのロンドンオリンピックは東京オリンピックの半額以下です。東京オリンピックの当初の予算額である7300億円は見積もりが甘かったとしても、ロンドンオリンピックの水準までの増加に留めることは可能ではないのでしょうか。

実際に当初予算との乖離は各オリンピックの平均で50%くらいだそうです。そうなると東京オリンピックも1兆1千億円くらいまでの予算拡大は一般的とも言えます。逆に言えば3兆円は異常に膨れすぎています。

 

何の見積もりが甘かったのか?

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新国立競技場や海の森水上競技場など施設の予算拡大ばかり取り上げられますが、予算見積もりが甘かったのは警備や運送、広報などのソフト面のようにも見えます。ここを削減、整理せずに箱物の議論ばかりしていては全体の予算圧縮はできないでしょう。官はIT音痴なので、ここをシステム化できると大幅な予算削減も可能だと思うんですけどね。。当初の予算見積もりは7300億円だったのに、機材と選手育成費だけで5000億円を超えてるってどういうこと?さらにこのグラフは総額2兆5千億円を下回っていますが、見積もりの甘さで3兆円を超える恐れがあるそうです。どんな見積もりしてるんだ。。

 

実は日本の経済力からすると3兆円は余裕で出せる

東京オリンピックの予算が膨れ上がることに対し、大会組織委員会の森会長は

「予算が膨れ上がっていることが問題ではなく、当初の見積もりが安すぎたことが問題だ。そもそも五輪というのは数兆円のお金がかかるものなんです。」と開き直っています。確かに日本のGDPは約500兆円ですから、3兆円という金額は天文学的数字というわけではありません。国が補助すれば簡単に出せる金額ではあります。この金額以上の経済対策を毎年出しているわけですからね。オリンピックを経済対策とすれば十分予算計上できるわけです。

 

しかし国際オリンピック委員会(IOC)から待ったが入る

が、お金が出せる出せないの問題ではないのです。日本という成熟した民主主義国家で3兆円という予算でオリンピックを開催されると国際オリンピック委員会(IOC)も困るわけです。案の定、待ったが入りました。

東京オリンピック以降の開催国が負担しきれない

日本という成熟した民主主義プロセスを有する国においてオリンピック予算3兆円という実績を作られると今後のオリンピック招致に悪影響を与えることを国際オリンピック委員会(IOC)は危惧しているようです。ついにIOCから待ったが入りました。

2020年東京五輪の開催経費削減を協議した国際オリンピック委員会(IOC)、大会組織委員会、東京都、政府の4者による3日までの作業部会で、組織委が議論のたたき台として示した一部の予算計画案について、IOCが高額過ぎるとして再検討するよう要請していたことが4日、出席した複数の関係者の話で分かった。

 作業部会では輸送、警備、エネルギー、仮設会場などの分野で、組織委が想定する経費の一例を提示した。これに対し、IOCからは計上する必要がない費目があるとの指摘や、資材価格の単価が高過ぎるといった意見が出たという。

IOC、予算計画の再検討要請 東京五輪組織委に - 共同通信 47NEWS

「3兆円なんて払えない」ということで今後の招致活動が沈静化してしまう可能性があります。誰も立候補しないなんて事態が発生するとオリンピックの継続開催すら危ぶまれます。このことを危惧してIOCは予算の圧縮削減を支持しているようです。

森会長とIOCの言ってることが真逆すぎる

  • 森会長「そもそも五輪というのは数兆円のお金がかかるものなんです。」
  • IOC「組織委が議論のたたき台として示した一部の予算計画案は高額過ぎる。再検討するように」

失笑

森会長の発言はIOCに否定されてしまう形となってしまいました。

 

というわけで、IOCが指摘するくらい2020東京オリンピックの予算は膨れ上がっていると言えます。どうしてこうなってしまったのか。当初の予定通りの金額に少しでも近づけることはできないのか。時間がないなりに最善を尽くしてもらいたいですねー。

 

おしまい。

 

参考

www.newsweekjapan.jp

www.tokyo-np.co.jp