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邦銀のATM設置台数ランキングからセブン銀行の業績や利益を調べてみました

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こんにちはKeitaです。小学生くらいのころに始まったコンビニATM。当時はコンビニ強盗が増えるという反対意見もありましたが、気が付けば無くては困る存在になっていました。特に最も成功しているのがセブン銀行。そういえば5年くらい前に「あれ?コンビニの外にセブン銀行のATMがある?!」なんてことを思った気がします。その銀行業界の異端児であり勝ち組と言われているセブン銀行について今回は調べてみました。

 

邦銀のATM設置台数ランキング

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様々な情報をかき集めました

全ての銀行を調べるのは途方もない時間を要するので、独断と偏見で選んだ主要銀行のATM設置台数を調べてみました。ただし、銀行が正式に公表している場合や、間接的な資料で調べたり計算したものが混ざっているので厳密には正確ではありません。また、銀行によっては10年前のデータも含まれています。まあ、メガバンや地銀はここ10年でATMの台数は劇的に変化していないと思うので、おおよその傾向は可視化できているのではないでしょうか。一応参考にしたページを並べておきます。

ATM台数のトップはゆうちょ銀行

セブン銀行がATM台数トップだと思っていたら、トップはゆうちょ銀行でした。コンビニより郵便局でした。その台数はセブン銀行の23,029台に対して、なんと27,300台。日本国内のセブンイレブンの店舗数が19,000店舗ですので、セブン銀行も店舗外に積極設置しなければ勝てませんね。ちなみに全国の郵便局数は24,000局だそうです。年々減ってきているとはいえ、セブンイレブンの店舗数が逆転するには相当な時間がかかりそうです。

参考:郵便局局数情報〈オープンデータ〉 - 日本郵便

三番手のイーネットというのは全国の銀行が協業して作ったATMです。全国の銀行が協力して共同運用できるATMを作って全国に設置しています。このため台数は結構な数にのぼります。

メガバンや、国内最大規模の地銀のATM台数も調べてみましたが、セブン銀行やゆうちょ銀行には遠く及ばないようです。というのも、最近はセブン銀行と提携してサービスの向上を図る銀行が多数派のようです。中にはセブン銀行と提携して自分のATMを減らしているところもあります。

 

セブン銀行は今もATMを増やし続けている

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各銀行のATM台数が横ばいなのに対して、台数トップクラスのセブン銀行はATM設置台数を今も増やしています。ここ2年半の間だけでも約3,500台も増えています。どうしてこんなハイペースで増えるのかと思ったら、そもそもセブンイレブンの店舗が未だ急速に増えているようです。2013年から2015年の2年間で2,250店舗も増えています。このため、2014年から2016年秋までの2年半のATM設置台数の多くが新規店舗に伴う設置であると考えられます。とはいえ、逆に店舗外へも数百台規模で設置しているとも言えます。地銀のATMが1000台前後であることを考えると、店舗外の設置速度も驚異的と言えるのかもしれません。

参考:売上高、店舗数推移|セブン‐イレブン~近くて便利~

 

セブン銀行の経常利益推移

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リーマンショックの影響が皆無

この時期の利益や売上のグラフをプロットすると、通常は2009年ごろに大幅な落ち込みが現れるものです。しかし、セブン銀行にはその痕跡が全くありません。それどころか2009年、2010年と利益を伸ばしています。リーマンショックは金融危機ですので、金融業界には激震が走っています。にもかかわらず、銀行業のセブン銀行がリーマンショックの影響を全く受けていないというのは異常です。後述しますが、これはセブン銀行の収益が従来の銀行業と全く異なる構造になっていることを示しています。

4期連続過去最高益更新を記録中

セブン銀行は2013年から4期連続過去最高益を更新中で、2017年も過去最高益で5期連続最高益更新の見込みだそうです。が、こうやってみると経常利益は頭打ちのようにも見えます。どうも主力のATM手数料収入だけでは成長が厳しくなってきているようです。

経常利益の大半はATM手数料収入

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セブン銀行の収益の実に98%はATM手数料です。各邦銀の入出金の委託を受けて得た手数料収入だけで成り立っているわけです。これがリーマンショックの影響を受けなかった理由です。銀行は個人向けローンや法人向け融資の利子で経営を行っていますが、セブン銀行は手数料だけで経営が成り立っている異端な存在というわけです。利便性を突いた入出金手数料ビジネスのため、景気の動向に関わらず安定した収益を得ることに成功しています。

 

セブン銀行の収支内訳の詳細

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さらにセブン銀行の収支の詳細を調べてみました。なんと、セブン銀行のATM手数料収入は1,172億円もあるそうです。これってスマホゲームのガチャよりも美味しいのでは。すごいですね。ここから経費が差し引かれていきます。

ATM設置手数料

ATM設置手数料が新規設置の際の一時金なのか、固定費として設置手数料がかかっているのか分かりませんでしたが、これが年間178億円かかっているそうです。積極的に設置台数を追っている間は、この金額は増え続けていくんでしょうね。

業務委託費

セブン銀行のATMはNECが開発しているそうです。セブン銀行にATMの開発能力はないようなので、ある程度のメンテナンスも外部委託しているのでしょう。

減価償却費

年間数百台から数千台のペースで設置しているわけですから、その製造費用が重くのしかかっていることが考えられます。そこを上手く減価償却しているのでしょうか、年間減価償却に187億円かかっています。ちなみにATMの機械の価格は200万から500万以上に上るようです。セブン銀行のATMはNECへの特注品のようですから、開発費で相当な投資となっていそうです。とはいえ、23,029台という大量生産による製造費削減もありそうですが、、

参考:ATMの価格は? : ATMって費用がかかるものなの? - NAVER まとめ

参考:現金自動取引装置(CZ6000NX) : ATM関連 : 製品 : 日立オムロンターミナルソリューションズ

 

セブン銀行の今後

先にも述べたように、ATM手数料ビジネスではこれ以上大きな成長が見込めないようです。このため、金融業らしく個人向けローンや外国人観光客向けの入出金、海外送金に力を入れており、現在急速に取扱額が伸びているようです。金融業らしい業務を拡大することで、金融業ならではのリスクも増えるのですが、上手くいけば更に大きな成長を見込むことができます。また、既存のATM手数料の収益をバックとして、競合の銀行に対して有利にビジネスを進めることができる可能性も秘めています。

 

というわけで異端な銀行、セブン銀行でした。調べれば調べるほど実に興味深い銀行ですね。個人的にもお世話になっているので、今後も金融や銀行という枠に捕らわれず新しいサービスを展開していってもらいたいです!